嘘ゲー:rushtetsu

 ・番外編(ネタバレ注意)「ワッフル久萬太郎のスーパーリアルクエストイベントガイド」 

 ・0「購入記」   ・1「プレイ初日」  ・2「脱出」  ・3「運び屋」  ・4「リアルファイト」  ・5「戦士CAN-DO」
 ・6「刺客」  ・7「はてなダイアリー」  ・8「リアルプレイヤー」  ・9「チーマー・ゴロウ」  ・10「ミルク刑事」
 ・11「TVニュース」  ・12「CAN-DO来る」  ・13「占い師」  ・14「天才ゾンビ」  ・15「作戦会議」 ・16「ゾンビ100人組手」

2004-05-09

[]-スーパーリアルクエスト- その11「TVニュース」

待ちに待った「美少女天使リアルファイトKOエンジェルズ」が始まる時間だ。

ゲーム内時間で土曜日の夜20時に始まるので、19時半にはもうテレビの前に座って待っている状態である。もっとも、リアルタイムで見逃しても、ビデオ録画を自動的にしていることになっているので、放送済みの回は後からいくらでも見直せるのだが。少しでも早く見たいのがファンの心理というものだ。

ちなみにテレビの横の棚の上には、セティの5分の1フィギュアを飾ってある。

ランちゃん今日は活躍するかなーっ。楽しみだなあ~」

期待に目を輝かせているのは、金田満である。こいつも実はKOエンジェルズのファンだったらしい。もっともそのことは俺がフィギュアなどのグッズを買ってから発覚したことなので、俺が番組に関心を示さなかったら、今後ゲーム内でKOエンジェルズの出番はなかったかも知れないのだ。

ランのファンらしいが、こればかりは趣味を疑う。KOエンジェルズに不細工はいないが、美形揃いのエンジェルズの中ではランはアクセント的な存在というか、ギャグ担当というか、花より団子な食いしんぼキャラでもあり、要するに、はっきり言って明らかに太っている。

俺は車椅子に座った金田をチラリと見た。

金田は、ばくだんいしの攻撃で脳に傷害を負って半身不随になってから、下半身と右半身をほとんど動かすことができなくなった。左手だけで車椅子をこいでいるのだ。しかし変わりにサイキック能力を身につけ、軽いものは動かせるため、身の回りのことはすべて自分でやっているらしい。風呂で溺れても、サイキックで風呂を栓を抜くことができるなら問題ないだろう。

「時刻は19時50分になりました。夜のニュースをお伝えします。今日夕方17時頃、シプヤ美弥升坂にあるコンビニエンスストア、セプンイレプンで爆発がありました。現場にいたミルク白井刑事の証言によりますと、強盗が店員から現金を奪って逃走しようとしたところ、偶然店内にいたミルク刑事が、強盗を取り押さえようとしました。観念した強盗は、体に巻き付けた大量の爆薬に火を点けて、爆発させたということです。この事件による死亡者は強盗犯一名で、負傷者は8名。重傷者はいませんでした。ミルク刑事の証言です」

「どうも、ミルク・シロ・コップことミルク白井です。私が彼を現行犯逮捕しようとしたところ、いきなり自爆されました。店内にはもう一人客がいたのですが、彼は無傷だったためその場を去りました。強盗犯は、顔も全身も隠していたんですが、格闘をした際に被っていた仮面が壊れまして、その顔は・・・なんといいますが、その・・・言い方は悪いんですが、死人のような顔・・・でしょうか。顔全体に酷い怪我の後があり、人相も全く分かりませんで、表情も全くないように見えたのでそう感じたのかもしれません。そんな印象でした。ちなみに片言でしたが日本語を話していました」

「・・・奇妙なことに、強盗の死体を調べたところ、二人分のDNAが見つかり、それぞれ死後一週間以上経っているという鑑定結果が出されました。しかしミルク刑事とコンビニの店員によれば、強盗犯は確実に1名だったということです。シプヤで街頭インタビューをしたところ、帽子と仮面とロングコートという今回の強盗の格好と、同じような服装をした人物の目撃証言が多数寄せられました。それらの目撃証言は、日時も場所もバラバラで、警察ではなんらかの組織が関係しているという見方もあるようです。なお、シプヤの連続飛び降り事件や行方不明事件との関連に関しても捜査をすすめていくということです。以上夜のニュースをお伝えしました」


KOエンジェルズが始まった。第7話の今日はポッチャー欄をフューチャリングした内容らしい。女相撲部の練習風景から始まり、いつものように宇宙人の来襲。エンジェルズ達が集まり、変身して戦い、今日戦闘で活躍するのが、ランのようである。

「うおーっ!ランちゃん萌えー!」

金田が吠える。俺も、熱い戦いに夢中になっていた。

ちなみに、TV番組に出てくる人物も背景も全てゲーム内と同じフルポリゴンで構成されている。KOエンジェルズのメンバーの顔などは非常に凝っていて、パッと見本物の人間のように見えるくらいである。それにポリゴン描写になれてくると、次第に違和感は薄れていき、それが自然で当たり前の現実のように受け止められるようになってくるから不思議だ。モーションキャプチャーなどを駆使して作られているのだと思うが、セティの顔などは誰かをモデルにして作られているのだろうか。あるいは現実のアイドルをそっくりそのまま再現しようとしている可能性もある。俺の知らない若いアイドルはいくらでもいるから、セティそっくりな人間が存在していてもおかしくはない。

KOエンジェルズのメンバーは、5人とも武道は万能で総合格闘技の一流ファイターだが、それぞれ違う部活に所属しているために、最も得意とする分野はバラバラである。

セブンティーンセティ)は空手メルシー・ボクトゥメル)は剣道スマック洋子ヨーコ)は柔道。ポッチャー欄ラン)は女相撲。戸橋谷弓子(とばしやゆみこ=ユミ)は弓道。

最初は、学内で起こる様々な事件や紛争、喧嘩などの解決や仲裁役として活躍していたが、今は方向性が変わって、格闘好きな宇宙人とバトルするという展開になっている。宇宙人には多様な身体的特徴を持ったタイプが存在するために、スポーツ界全般において、人間と競い合ったり、大会に参加したりすることを認められていない。宇宙人達の間では、格闘技がブームであり、人間と戦ってその腕を確かめたい宇宙人が、格闘技のエキスパートであるKOエンジェルズに戦いを挑んでくるというわけである。

「今回の宇宙人はまたへんちくりんなやつだなあー」

金田の言うとおり、毎回宇宙人は個性的なやつばかりが出てくるが、今回もインパクトのあるやつである。首が3本あって、手が8本。しかし足は2本で人間のように立って歩いている。手が多いぶん、格闘には有利かもしれないぞ。

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」

奇妙な叫び声と共に、パンチが繰り出される。8本同時に繰り出されたのでは避けようがない。それを食らったメンバーは後ろにはじきとばされた。勇敢に立ち向かったセティでさえ、あっさりと吹っ飛んでしまった。

「私にまかせて!」

ポッチャー欄の声だ。

ラン!どうするつもり!」

ヨーコは心配そうだ。

ランは、相撲のしきりのように前に両手をつくと、宇宙人に向かって突進した。

その勢いは、宇宙人のパンチでも止めることはできず、ついにはランが宇宙人の懐に入って、押し出しを始めた。

後ろの大樹に衝突!宇宙人はヤケクソ気味に左右からパンチを繰り出すが、体を締め付けられているためにそれほどの威力はない。しかし、ランの体が赤く腫れ上がり始めるほどの威力である。

ユミ!今よ!」

ユミが狙いを定めて弓を引いた。

「弓術必殺技!遠的仁の道!」

連続して放った3本の矢が、3つの頭の額に見事に的中した。

「マイッタァァァーーーー!」

宇宙人は爆発して消えた。死んだわけでない。KOエンジェルズ達の必殺技は、相手を殺すためのものではなく、相手に負けを認めさせるためのものである。必殺技をくらった相手は、負けを認めたことでその場から消滅し、死力を尽くして戦ったという足感とともに、見慣れたベッドの上で目を覚ますのだ。

「いやー。良かったなあー!なあ、テツ!」

金田は大足の様子である。俺としては、今回はセティの活躍がほとんどなかったので少々物足りなかったが、まあ次回に期待するとしよう。

ピンポーン

ベルが鳴った。

「俺が出る」

ミルク刑事かもしれない。俺はすかさず立ち上がった。

真奈芽は今日は出かけていて遅くなるらしいので、真奈芽ではないだろう。