嘘ゲー:rushtetsu

 ・番外編(ネタバレ注意)「ワッフル久萬太郎のスーパーリアルクエストイベントガイド」 

 ・0「購入記」   ・1「プレイ初日」  ・2「脱出」  ・3「運び屋」  ・4「リアルファイト」  ・5「戦士CAN-DO」
 ・6「刺客」  ・7「はてなダイアリー」  ・8「リアルプレイヤー」  ・9「チーマー・ゴロウ」  ・10「ミルク刑事」
 ・11「TVニュース」  ・12「CAN-DO来る」  ・13「占い師」  ・14「天才ゾンビ」  ・15「作戦会議」 ・16「ゾンビ100人組手」

2004-05-04

[]-スーパーリアルクエスト- その9「チーマー・ゴロウ」

ガン飛ばし、カツ上げ・・・レベル5の俺にはもはや全く効かない。

だが、チーマーのガン飛ばしにわざを動きを止めて、効いたフリをした。

「ゴロウさん、こいつですよ。俺のダチをやったやつは」

「あんだぁ~?ゴロウさん、こ~いつビビってやすぜぃ。ケチョンケチョンにしてやりましょう」

しかし、ゴロウと呼ばれた男は黙って俺の様子をうかがっていた。身長は190cmはあるだろうか、ダボダボの服を着ているが、その下に筋肉の付いた肉体が隠されていることは容易に想像ができる。

「ここじゃ、場所が悪い。人気のないところへいくぞ」

俺は、10人近くいるチーマーに囲まれて地下鉄への階段を下りていった。

一人では地下鉄の階段に侵入できなかったので、助かる。しかし、まだ5人程度のチーマーしか倒していない俺に、チンピラとはいえ10人同時に相手にできるだろうか。

「誰かに駅員を呼ばれるかもしれねえ。早めにやるぞ」

ポケットに手を入れたままつぶやくようにそう言うと、ゴロウは顎を動かした。

それが戦闘開始の合図のようだった。

丸腰の俺に、総勢9名のチーマーが襲いかかってくる。

俺は行き止まりを背にしているので、囲まれる心配はない。フットワークで奴らの打撃をかわす。やつらも後ろの壁に手足をぶつけるのを恐れてか、威力のある打撃は出してこない。

「ぎゃああっ。いてえええええ」

一人の回し蹴りが俺の腰に命中した。だが悲鳴をあげているのは蹴った本人だ。

上着の下に隠した鉄パイプに、奴のすねがモロに当たったのだ。俺は、数時間前に倒したチーマー連中から奪った鉄パイプを取り出して構えた。

「こ、こいつ武器持ってやがるぞ!」

チーマー達はいったん俺から離れると、各々の武器を取り出した。どうやらナイフがメインのようだ。

「ガン飛ばし!」

すさまじい形相で連中を睨めると、そのおよそ半数の動きが止まった。

今がチャンスだ。

「鉄棒遊戯・激闘10廻転!」

目にも止まらぬ速さで、鉄パイプをブン回す。ガン飛ばしで怯んで動きを止めていた奴らがひとたまりもなく吹っ飛んだ。残ったのは5人。それも、位置はかなりバラけている。

「鉄棒遊戯・脳天直撃!」

一人目。

「鉄棒遊戯・金的衝上!」

二人目。

「鉄棒遊戯・顎砕突!」

三人目。

「鉄棒遊戯・鳩尾突!」

四人目。

五人目は背を向けて逃げようとしている。

「鉄棒遊戯・後頭部ドリル!」

鉄パイプと一緒に、体ごとドリルのように回転させながら、一直線に相手に突進する技だ。

後頭部に見事命中し、そいつは一瞬にして意識を失い、そのままゴロウの足元まで吹っ飛んでいった。

俺は起きあがろうとする残りの四人に、起き上がる前にとどめをさした。

「やるじゃねえか・・・。それだけの不良技を身につけているとはな。」

ゴロウは、武器を取り出した。鉄球だ。こんな体格をしたやつにこんなものを振り回されてはたまったものではない。当たったら一撃でやられるだろう。

唸りを上げて鉄球が回転を始める。横から来ると思って上下に避けるフットワークをしていたが、その予想は裏切られた。いきなり廻っていた鉄球が直線的にこっちに飛んできたのだ。

俺はかろうじて、右に避けた。それは予想以上に伸びて、背後の壁を破壊した。

この隙を逃す手はない。こっちはスピードで勝負だ。鉄パイプと共に奴の懐に飛び込んだ。

「鉄棒遊戯・顎砕突!」

しかし、奴は左手でそれを振り払った。バカな。やつの服が破れ、手を覆った鉄製のレガースが露わになる。なるほど、全身を防具で覆っているというわけか。

「不良(ヤンキー)技の最高峰で逝かせてやる。鉄球奥義・魔球弾!」

今度はひとつではない。五つほどの鉄球が飛んできて、避ける隙間がない。本物はひとつだけに違いない。俺はカマをかけて、右側に飛んだ。二つの鉄球が俺の体をすり抜けた。どうやら正解だったようだ。

「まぐれは続かんぞ。それっ!鉄球奥義・魔球弾!」

今度は下に滑り込むように避ける。仰向けになった俺の鼻をスレスレに鉄球が飛んでいく。

続けざまに、鉄球が振下ろされる。俺は転がりながらその攻撃を避けた。地面が破壊されていく。

転がりながら俺は少しずつ相手との距離を縮めていき、ある程度まで近づいたところで跳ね起きた。この距離では近すぎて、鉄球を飛ばすことはできないだろう。

ゴロウは、チェーンを短く持って、鉄球を拳代わりにブン回した。こんな遅い拳は誰だって避けられる、鉄球の勢いに体を持って行かれてバランスを崩したゴロウの背後にまわり込む。

ゾンビ技・背面腐臭羽交締!」

鉄パイプバージョンだ。鉄パイプで相手の喉を強烈に締め上げながら、足を相手の胴体に絡ませる。こいつが落ちるのは時間の問題だ。

「参った・・・。情報を教えるから助けてくれ・・・」

俺は相手が話せる程度まで、力を緩めた。

「価値のある情報ならな」

ゾンビ技が使えるとはな・・・。俺は小遣い稼ぎにあいつらに協力したことがある。巷で話題になっている飛び降り事件があるだろう。あれはゾンビ達が殺しているんだ」

「そんなことはもう知っているよ」

「ま、待ってくれ・・・。ゾンビ族シプヤを拠点に東京に勢力を広げていることはまだ世間的には知られていない。それに関して情報を得たり、疑問を持った奴らがアクションを起こす前に呼び出して、殺しているんだ。俺はその情報収集や、呼び出し係をやっていたんだ」

「情報というのはそれだけか?」

俺は鉄パイプを握る腕に力を入れた。

「ま、まだ・・・ある・・・。ゾンビ族は操られているだけの兵士のような存在で、裏に強大な存在がいるらしい。人間ではないという噂もあるけど、俺はそこまでは知らない・・・それから・・・」

「それから?」

ゾンビ族は人間の死体から作られた存在で、そのパーツになった人間は当然死んでいる。死体から取り出された脳髄や脊髄が奴らの新たな命ともいえるものだが、その本来の持ち主である人間は死んでいるわけで・・・」

「要点を言え!」

廻りに人だかりができており、今にも駅員が来そうな雰囲気だ。

「ゆう・・・れい・・・。ゾンビ・・・怖がる・・・」

「おい!何をしている!」

しまった。駅員がきた。一刻の猶予もない。俺はゴロウを駅員に向けて押した。

駅員はゴロウの下敷きになってもがいている。

その隙に、階段を駆け上がり、雑踏の中に紛れ込むことに成功した。