嘘ゲー:rushtetsu

 ・番外編(ネタバレ注意)「ワッフル久萬太郎のスーパーリアルクエストイベントガイド」 

 ・0「購入記」   ・1「プレイ初日」  ・2「脱出」  ・3「運び屋」  ・4「リアルファイト」  ・5「戦士CAN-DO」
 ・6「刺客」  ・7「はてなダイアリー」  ・8「リアルプレイヤー」  ・9「チーマー・ゴロウ」  ・10「ミルク刑事」
 ・11「TVニュース」  ・12「CAN-DO来る」  ・13「占い師」  ・14「天才ゾンビ」  ・15「作戦会議」 ・16「ゾンビ100人組手」

2004-05-02

[]-スーパーリアルクエスト- その7「はてなダイアリー

実は未だにセーブの方法が分からない。ゲームオーバーになってないからいいようなものの、このままでは不安がつのるばかりだ。

俺は、金田真奈芽の自宅内をくまなく調べた。平日の昼間に真奈芽が会社に行っている間に、真奈芽の部屋もくまなく調べた。

居間の電話の下に、電話帳があるのに気づいて開いてみた。

「あ」から順番に見ていく・・・。

「は」。はてな株式会社はてなというのがある。

はてなダイアリーというのを知っているか?」と金田が言っていたのを思い出した。電話してみることにした。どうやらシプヤに会社があるらしい。

「はい、株式会社はてなのコンドウです」

「こんにちは、はてなダイアリーというものについて聞きたいのですが」

「はい。はてなダイアリーはWEB上の当サイトで登録していただければ、無料でご利用頂ける日記のサービスです」

「記録がつけられるということですね?」

「はい、そうです」

「つまり、セーブができるということですよね」

「はい、記録をセーブということもできると思います」

俺はURLを聞いて、電話を切った。すぐに真奈芽のパソコンに向かう。

壁紙はジャミーズとかいう男性アイドル集団のものだ。

URLを入力、登録を済ませ、さっそく日記を付けた。

「ふう、セーブ完了」

俺は安心感とともに、PCの電源を切った。

さて、獨讀存美から逃げたはいいものの、次に具体的にどういった行動に出るかはまったく決まっていない。俺はとりあえず今使える技を強化することと、基礎体力を上げてレベル上げを目指すことにした。

まずは腕立て伏せと腹筋をそれぞれ30回、スクワットを100回。それから習得したゾンビ族の技の鍛錬だ。

ゾンビパンチ!ゾンッゾンッゾーン!ゾンッゾンッゾーン!」

技を出せば出すほど、キレがよくなっていく気がする。

ゾーンディフェンス!」

防御も大切だ。攻撃からスムーズに防御の姿勢に移行できなければならない。

この構えは、ボクシングの防御の姿勢によく似ている。頭部やボディへの打撃を防ぐ最も有効な防御姿勢だ。

腐り手落とし!」

手刀を鋭く振り落とす。

腐臭羽交締(ふゅしゅうはがいじめ!)」

正面から相手に突進し、相手に抱きついてさばおりをする。力が弱いゾンビ族でも、強烈な腐臭で相手をノックダウンすることも可能だ。俺がやる場合は、相手の動きを止めることが第一目的になるだろう。

ゾンビ族は基本的に武器や防具を使用しない。させてもらえないだけかもしれないが、このことは、ゾンビ族の技が肉体技が中心であることと関係している。

肉を切らせて骨を断つ。

ゾンビ族から学んだことだ。俺の場合は、強度のある防具を身につけて始めて、ゾンビ技の真価を発揮させることができるだろう。

「セイヤーッ!屍ローリングサンダー!」

HPの減りが早い。もうリアルゴールデンはとっくの昔に使い尽くしている。

HPが20を切った時点で、俺は冷蔵庫を覗いて食えそうなものを物色することにした。

「ふむ・・・。色々あるな。あ、生卵があるな」

生卵を3つ割って、一気飲みする。

HPが30回復した。まずまずだ。しかしこれはHPよりもESPの回復に効果がありそうな気がする。HPの回復はやはり即効性のあるドリンク系が効果的だ。俺はダイエットペプシを一気飲みした。HPは全快。リアルゴールデンには劣るか。

「あー、疲れたー。まだ夕方だけど寝るか」

俺はゴロリとソファに横たわり、テレビを点けた。

元気一杯の主題歌が流れ、特撮モノの番組が始まる。

俺は新聞のテレビ欄をチェックした。『美少女天使リアルファイトKOエンジェルズ』とある。ケーオーではなく、ノックアウトエンジェルズというふりがなが振ってある。

ミニスカートをひるがえして、見せパンツを惜しげもなくさらしている。俺は思わず夢中になって見入ってしまった。

リアルファイトでノックアウトよ!セブンティーン股技顔挟絞殺!」

おおっ!どこかの格闘ゲームで見たことがあるような技だが、これは強烈な技だ。相手の顔面を両足で挟みつけて、首を絞めて落とす。あるいは力があれば首の骨を折れるかもしれない。

このセブンティーン(愛称はセティ)という娘が一番カワイイなあ。どうやら名前のとおり17歳らしい。

番組の最後にセブンティーンを始め、KOエンジェルズ5人のフィギュアの通信販売の広告をやっていた。

俺は立ち上がり、また真奈芽のPCを立ち上げた。

http://www.ko~angels.com/

ふむ。セティの5分の1フィギュアは25000R.か。

死体運びで稼いだ金が15万残っている。先日の生ける屍乱入時の修理代を引いて残った額だ。現状で、装備品やアイテムが皆無なので、余裕があるのかどうか分からないが、フィギュアを買う金はあるだろう。

「ポチっとな」

この住所宛に料金着払いで購入。

将来レアアイテムになるかもしれん。俺はゲーム内でのアイテム収集には結構こだわるほうなのだ。買えるものは買える時に買って、大事にとっておくことが大切だ。

ついでに、セブンティーン役をしているアイドル女優のことも調べた。名前は星光奈々子(ほしひかりななこ)といい、現役の女子高生。ティーンズモデルというカテゴリに属するアイドルで、バニラという十代向けのファッション雑誌専属のモデルらしい。ゲーム内にもGoogleがあり、星光奈々子でググると少ないながらも、商品が出てきた。俺は買えるモノは全部注文しておいた。

「ムフフ・・・これで明後日には、フィギュアと写真集とポスターとDVDが届くぞ」

ついでに無料のメールアドレスを取得しておいた。今後、情報収集に活用できるかもしれない。

そうするうちに、金田満が帰ってきた。情報収集をするといっていたがどこへ行っていたのだろう。車椅子の単独行動だからそう遠出ができるとも思えないが。

夕飯時になって金田真奈芽が帰ってきた。今日は平穏無事に一日が終わりそうだ。


[]-スーパーリアルクエスト- その8「リアルプレイヤー」

昼は外に出て、情報収集に努めたが、誰に話しかけても何の進展もなかった。

ヒューマン科学研究所に行ったら、ビルの入り口付近にすでにゾンビ達が立っていて近づけないし、ただ闇雲に歩き回っているだけでは、殺人現場にも巡り合えない。俺が部下をやらされていた時に拠点となっていたホテルビゾンシプヤにも行ってみた。名前から想像がつくと思うが、ラブホテルだ。実質上の経営はゾンビ族が行っている。大通りから小さな路地に入り、人通りの少ない路地をしばらく歩くと、「休憩5000R. 宿泊8000R.~」という看板が見えてくる。やはり警備が厳しいようだ。ビルの入り口に周囲を警戒している様子のゾンビが3人いる。思いきって近づいていったら気づかれて追いかけられた。追跡を振り切って、なんとか人混みに逃げ込んだ。一人で乗り込んでいって勝てる状況ではない。

夕方からは、空き地で技を鍛えた。腕立て伏せをしている最中に、ファンファーレが鳴り響き、レベルが4になったことが分かった。

このまま何日もかけてコツコツと鍛錬によってレベルを上げて行くやり方でいいのだろうか、これではいつになったら獨讀存美を倒せるのか分かったものではない。

首を傾げながら、マンションに戻り(合い鍵は貰ってある)、一息ついていると荷物が来た。

フィギュアとその他色々だ。

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

それらのアイテムは「だいじなアイテム」欄で確認できた。

俺は時間をかけてはてなダイアリーを書いた。ゲーム機にはキーボードも付けられるので、いざ長文を打ちたい時に役に立つ。ポリゴンの俺がPCに向かって、現実世界と同じようなノリで日記を書いている。不思議な感じもするが、ゲーム内でPCに向かっている主人公である俺と、現実世界でテレビ画面に向かってキーボードを叩いている俺というのは、こういう場面においては100%同一人物なのだ。戦ったり、会話したりしている主人公には感情移入はしているものの、必ずしも俺ではない。しかし自由に長文を書いている主人公なら、まさしく俺以外の何者でもない。そこには一切の制限も干渉もない。ネットゲームでチャットをしている時の感覚と同じだ。

セブンティーンのフィギュアはパンティまでよく出来ている・・・」と。

細かいことまで記録を付ける俺。

「テツさん!メールがきたよ!」

星光奈々子、もといセティの声。メーラーにセティの声を設定しておいたのだ。

誰にもメールを出してないのに、メールが来た。ゲームも行き詰まっている。これはゲームの進行に関係のあるイベント関係に違いない。


From: フロウ <flow@real.co.jp>

件名:はじめまして

テツさん。はじめまして。

はてなダイアリーであなたの日記を見ました。僕はプレイヤーのフロウと言います。

あなたの日記を見つけるまでは、このゲームがネット対応だってことを知らなかったけど、僕はネットに接続してるから不思議ではないことでした。

あなたはレベルが4で、獨讀存美とかいうモンスターを倒す手前でつまづいているということですよね。実は僕も詰まってるんです。もう長いこと街を歩いてるんだけど、先に進めません。ちなみに戦闘でレベルを上げるポイントを知っていますよ。自己鍛錬でもレベルは上がるけど、戦闘のほうが早いですよ。ともあれ、返事待ってます。これ読んだらすぐに返事くれるとありがたいです。しばらく待ってみます。

俺は驚きのあまり、テレビ画面の前でしばらく固まっていた。・・・言われてみれば、一応ネットに常時接続させているから、ネットに対応していればプレイヤー同士の交流があってもおかしくはない。プレイヤーが協力しあうことで、道が開けるのがネットゲームというものだ。このフロウとかいうやつは色々情報を知っている様子だ。現時点ではこいつがプレイヤーであるという確証はない。ゲーム内のイベントの一環である可能性もある。だが、俺が返事を書いて、その内容に応じた返事が来たらフロウは間違いなくプレイヤーだということになる。俺はものすごい勢いで返事を書いた。

フロウさん。メールありがとうございます。

私もネット対応だということに驚いています。ただ疑うつもりではないんですが、プレイヤーであるという証明になるようなことを書いて貰えませんか。最近現実世界で起こった社会的出来事とか。例えば、ミルコがまさかのKO負けをした、とか。

現実の時間で待ち合わせをしませんか、あるいは文章でしかやり取りができないという可能性も考えられますよね。実際に会えれば色々協力できそうですし。もっともチャット機能があるのかどうかすら分かりませんが。時間はそちらの都合をお教えください。

送信してから30分待った。長い30分だった。

「テツさん!メールがきたよ!」

From: フロウ <flow@real.co.jp>

件名:会う件について

返事ありがとうございます。安心しました。

驚くのも無理はありませんね。最近あったことですか。そうですねー。ミルコのKO負け、いい例ですね。これだけでも僕のほうの証明になってると思うけど、システム側のコピペかもしれないと思われちゃうかな?じゃあ、今は2004年5月1日夜の11時35分。・・・って時間の取得なんていくらでもできちゃいますね。はてなダイアリーを読ませたいところだけど、僕はプライベートモードにしてるんですよね。あ、そうだ!間違いないのがひとつありました。イラクで人質になった3人のうちの2人が記者会見を行いましたよ。これ以上ないという時事ネタでしょう。

さて、待ち合わせの件なんですが、実は私は明日から旅行に行くんで、しばらくプレイできないのです。ちょっとした情報だけ教えておきます。私はレベル12なんですが、センター街・・・じゃないや、ハンター街ってありますよね。あの通りをブラブラ歩いてると結構な確率で悪い人間が絡んできます。そこで喧嘩を買うんです。モンスターじゃないですよ。ここでモンスターはいたとしても襲いかかってきたことはないです。レベル4だとチーマーには勝てるでしょう。他にはギャング、暴走族、暴力団といます。暴力団に絡まれたら今はまだ逃げたほうがいいでしょう。もう背後にモンスターがついている可能性もありますからね。僕はこの通りだけでレベル7まで上げましたよ。実は他にも戦闘できる場所はあります。電車使えるようになってるなら、使うといいですよ。じゃ、明日の準備もあるんでしばらくの間失礼します。グッドラック!

フロウがプレイヤーであることは分かった。

会えないのは残念だ。でも安易に人に頼ってしまっては面白くなくなるだろうから、これでよかったのかも知れない。彼はコツコツとレベル12まで上げたのだ。俺はレベル4でもう弱音を吐いている。ゲーマー失格だ。気合いを入れ直して頑張ろう。