嘘ゲー:rushtetsu

 ・番外編(ネタバレ注意)「ワッフル久萬太郎のスーパーリアルクエストイベントガイド」 

 ・0「購入記」   ・1「プレイ初日」  ・2「脱出」  ・3「運び屋」  ・4「リアルファイト」  ・5「戦士CAN-DO」
 ・6「刺客」  ・7「はてなダイアリー」  ・8「リアルプレイヤー」  ・9「チーマー・ゴロウ」  ・10「ミルク刑事」
 ・11「TVニュース」  ・12「CAN-DO来る」  ・13「占い師」  ・14「天才ゾンビ」  ・15「作戦会議」 ・16「ゾンビ100人組手」

2004-06-16

[]-スーパーリアルクエスト- その16「ゾンビ100人組手」

ランドホテルシカパーネは、梅雨の湿った空気の中に雄大にそびえたっていた。がっしりとした造りは、10階という高さを感じさせないほど横に大きく広がっており、豪華絢爛な高級ホテルであると同時に、堅牢な要塞といった印象も受ける。

ここまでたどり着くのは比較的容易だった。地図のとおりに進んだだけだ。ただその道中、何度かソンビ達にエンカウントし、俺はレベル13になった。

ホテルの入り口付近にセーブポイントがある。ここで来た道を戻ってレベル上げに励むこともできそうだ。俺は道中のゾンビを相手にした手応えから、このままで行けると判断した。

「この中に獨讀存美がいる。これからは何が起こるか分からない。一気に獨讀存美のところまで突っ走るぞ!みんな準備はいいか!」

車椅子に乗った金田、ロングコートとシルクハットというスタンダードなシプゾンスタイルで身を固めたシプゾン・ハイドが気合いの雄叫びを返した。他幽霊8名の声もどこからともなく聞こえた気がした。俺は、神がかったゾンビ殺しメタルナックルを力強く握りしめて気合いを込めると、その手で入り口のガラス戸を開けた。

誰もいない閑散としたロビーを見回す。すると、隠れていたゾンビが影になっているところから姿を現した。

「イラッシャイマシェーーーッ!!!」

「タダイマ・マンシツ・・・デス!!!」

観葉植物の影から躍り出たゾンビと、カウンターの下から飛び出したゾンビが一斉に飛びかかってきた。

イベント開始だ。「全てのゾンビを倒して、次のフロアへ進め!」と条件が表示される。OK。おやすいご用だ。

見たところ、およそ敵は9体。全員普通のゾンビだ。ゾンビとひと口に言っても、生ける屍腐りはじめた死体腐りきった死体など、様々な状態が存在するが、基本的に人間の形をしているものは、ゾンビと呼んで差し支えない。人間と他の生き物を合成したキメラという化け物や、人間の脳を石の中に入れたフライング・ヘッドなどのゾンビ族も存在するが、この中にそいつらはいない。

まず幽霊連中が、ゾンビの動きを止めたり、怖がらせて震えさせたり、混乱させたりする。そして幽霊加藤賢治が俺の耳元にナビゲーターとして常駐し、俺が倒すべきゾンビへの案内をすることになっている。

「右方向30度のゾンビだ!」

加藤の声で、見るとゾンビは元々ぎこちない動きがさらにぎこちなくなっていた。

「アビャ?ウゴ・・・カン?・・・アギャギャン!」

戸惑うゾンビの顔面に俺のメタルナックルがめり込む。ゾンビは反射的に俺への攻撃を繰り出そうとするが、目が潰れて俺のことがしっかりと見えていない。無防備な延髄に思い切り手刀を入れると、ゆっくりとくずおれて動かなくなった。

「フッ。一丁上がり」

「もたもたしてるヒマはないぞ!次右方向90度!」

俺は左から襲いくるゾンビのパンチをかわしながら、目標のゾンビのほうへ向かった。指示どおりに倒していかないと、袋だたきに合う可能性が高い。無駄な動きを極力避けて、効率よく動く必要がある。

ゾンビパンチ!ゾンゾンゾンゾンゾーーーーーーン!」

5秒足らずで2体目を撃破。トドメのストレートで、ゾンビの腐り始めた顔面は完全に粉砕された。顔面が破壊されてもがむしゃらに手足を振り回していたが、トドメを指すまでもあるまい。あの暴れっぷりでは、仲間で同士討ちをするだけだ。

「おーーーい!こいつだ!こいつ!」

シプゾン・ハイドが手を振り上げて助けを求めていた。見ると、ゾンビに追いかけられて必死に逃げまどっている。他のゾンビと同じ格好をしているのに、もう敵だとばれたのだろうか。それとも余計な攻撃でもして、墓穴を掘ったか。追いかけているゾンビの足はそれほど速くはなく、すぐに追いつかれる心配はなさそうだが、ロビーはそれほど広い空間ではない。敵の隙間を縫って、無軌道に逃げていては、壁際に追いつめられる可能性も高い。

俺は数メートルは離れた位置にいるそのゾンビに向かって、スライディングをした。

戦士スライディング!」

床は絨毯なので痛くはない。なんなくゾンビに到達し、その両足首をグイと掴んで、ひっぱる。不意をつかれたゾンビは、ぶざまに顔面を床に打ち付けた。

「ボギョ?ムシャッショーーー!!!」

振り向いて怒りの感情を露わにする。あまり時間をかけてはいられない。ふと、まわりを見回すと走り続けるシプゾン・ハイドと、ロビーの反対側で、車椅子を器用に操りながら、ゾンビに何かを投げつけて戦っている金田の姿が見える。

「ホワッタ!シュバッチャーーー!ワオウチョアッ!!!」

ゾンビとは思えぬほど素早いクンフー風の動きで、そいつは俺に飛びかかってきた。

跳び蹴りか。隙が多い。これは避けられる。さらりとかわして振り向くと、そいつは器用に着地して、すぐに次の攻撃を繰り出してきた。目にも止まらぬ連続パンチ。ゾンビパンチだ。だが、打撃技で俺と勝負しようというのが甘い。今の俺の最も得意なものが打撃技なのだ。避けることもできるが、俺はやつのジャブをゾーンディフェンスで守り、ストレートが来るタイミングでディフェンスを外し、右手を前に突き出した。奴の拳と俺の拳がぶつかり合う。グシャリ。骨の砕ける音がした。もちろん相手の骨だ。

「アギヤッ?!ホワウワウ!ワキャアアアアオウウウ!!!」

自分の崩れた拳に異変を感じたゾンビがひるんだ瞬間を逃さず、ハイキックを放つ。この角度からは、俺の蹴りは見えないだろう。ミルコさながらのハイキックが首にめり込み、ゾンビはたまらず倒れた。

だが、そこはさすがゾンビである。人間のように意識を失うということは滅多にない。ほとんど機械的にすぐに立ち上がるのである。だが、完全に立ち上がる時間を与えず、腰を上げかけたゾンビの脳天にカカト落としを見舞った。頭蓋骨にヒビが入るような衝撃を受けても、そのまま立ち上がろうとする。しかし動きが緩慢だ。

俺は奴の頭部を両手で抱えるように掴むと、顔面に容赦のないヒザ蹴りを叩き込んだ。一発、二発、三発。そして、このゾンビの顔面も完全に破壊された。ズシャリと前のめりに倒れ、その延髄にトドメの足刀を叩き込む。ゾンビは完全に動かなくなった。

金田の周りに3体のゾンビが倒れている。幽霊のサポートがあるにしても、俺と同じ時間で同じ数を倒すとはなかなかやるな。

「次、左後ろ!左120度!」

素早く振り向くと、すぐ後ろに俺に手を振り上げた途中で、ゾンビが固まっていた。しかし、そのすぐ傍らになにやら白く光り輝く物体がある。神々しい光を放ち、異様なまでの存在感を放っている。

「な、なんだこれは?敵か?」

「私よ!綾尋千里よ!」

よく見ると、光る物体は宙に浮いてはいるが、人型をしており、髪型やなんとなく見える顔の輪郭から女性であることが分かる。

「私はイタコ技でしばらくの間、体を物質界に実体化させることができるの。でも敵からの物理攻撃は完全に無効よ。この状態になれば、強力なイタコ技が使えるわ。生前のイタコ技と同じというわけにはいかないから、正確には幽霊イタコ技ということになるけどね」

心の声で俺に話しかけたのは一瞬のことだった。

幽霊イタコ技!切ない記憶!」

「アギャアアアアア!ナ、ナンダこのキオクは・・・?コロサレタ時のキオクがオレをオソウウウウウウウウウ・・・!!!アタマがイタイイイイイ!!!」

すぐ近くにいたゾンビが頭を抱えてうずくまった。

「生前の記憶を蘇らせてダメージを与える技よ。体の所有者の様々な記憶の波が次々とゾンビを襲って、頭をパンクさせるの。苦しんでいる今がチャンスよ!」

・・・なんか、こういう状態の相手に攻撃を加えるのは気がすすまないが、やるしかないのだろう。容赦していては、復活してしまうかもしれない。

「何をしているの!!!早くトドメを指しなさい!!!」

千里の厳しい声が脳裏に響き渡り、俺はその声にビクリと反応して飛び上がり、そのままの勢いでゾンビの後頭部にパンチの連打を浴びせた。ゾンビは脳髄に決定的なダメージを受けて、床に崩れ落ちた。

「良くできたわ。それでいいのよ」

千里の輝く輪郭がニッコリと微笑んだように見えた。俺は安堵の息をついた。彼女の叫びは、たとえようもないほど絶大な恐怖以外の何ものでもなかった。怨念や激しい怒りの感情すら体に響いてくるようだった。直接脳に訴えかけるのだから無理もないのかもしれないが、これは彼女に逆らうことはできそうにないな・・・。

「後ろから攻撃だ!」

加藤賢治の声と同時に、俺の後ろ回し蹴りが、ゾンビの腹部にめり込んでいた。

屍ローリングサンダー

技が決まった後だったが、俺は技の名前をクールに告げた。

「グゥェバアァッ!!!」

ゾンビは口から、ドロドロの液体を吐いた。俺はそれを浴びないように後ろに飛び退くと、人差し指を前後に振って、相手を挑発した。

「カモン」

「ヌゥギァアアアアアアッッッ!!!」

口から液体をまき散らしながら、襲い来るゾンビゾンビパンチが飛んでくるが、遅い遅い。

「腐り手はじき!腐り手はじき!」

気合いとともに、左右の手で交互に、相手のパンチをはじく。

これを何度も繰り返しているうちに、相手は体勢を崩し、ガードががら空きになる。今だ!

「必殺!ゾンビ百烈パンチ!ゾンゾンゾンゾンゾンゾンゾンゾンゾンゾンゾン!!!ビーーーーーーッ!!!!!」

ゾンビは、遙か後方に吹っ飛び、壁に激突してから倒れると動かなくなった。

周囲を見渡すと、もう動いているゾンビはいないようだった。シプゾン・ハイドも疲れたのか、床にあぐらをかいて座り込み、こっちの様子を見ている。

「上の階に行くか・・・」

と言った時、

「上だ!」

という加藤の声がして、俺は反射的に前へ飛んだ。衝撃音がして、見ると、俺がいたところに穴が開いており、巨大なゾンビがゆっくりと立ち上がろうとしているところだった。

真上のシャンデリアに隠れていて、他のゾンビが全滅するのを待っていたのだ。それだけ自分の戦闘力に自信があるということだろう。

こんなでかいゾンビは見たことがない。2メートルはあるだろう。しかし、俺が驚いたのは奴の体躯だけではない。

「ただ者じゃないな」

俺はつぶやいた。

「全員でかからないと勝てない相手だぞ」

金田が近づいてきて言った。

そのゾンビの両腕は、明らかに己の肉体によって構成されたものではなく、義手だった。それも鋼鉄製だ。こんなものをまともに頭部に喰らったら相当なダメージを受けるだろう。

俺は自分の画面の右上に表示されているHPを確認した。ここまで打撃をほとんどくらってないせいか、90%も残っている。ここまでは上出来というところだろう。ちなみに、このイベント中にワンフロアで戦っている間は、武器の交換も、一切のアイテムの使用もできないようだ。つまり、システム画面を開くことが不可能と言うことだ。補給や武器の交換は、次のフロアに進む直前にしかできないのだ。

「ウガアアアアアアアア!!!」

ヤツは体を両腕を大きく広げ、体ごと回転させながら、こっちに向かってきた。

「ダメよ!幽霊が全員力を合わせても、動きを止められないわ!」

千里が叫ぶ。

最初の攻撃は、身をかがめることによってなんとかかわした。ヤツはすぐには止まれず、壁に激突して、大きく壁を破壊してようやく動きを止めた。そして、今度はゆっくりとこちらに向かって歩いてきた。

ヤツは動きが遅い。あの腕にさえ当たらなければ、どうってことはない。俺はやつにゆっくり近づいていった。すると、予想以上のスピードで、腕が振り上げられ、射程距離の外にいたと思いこんでいた俺の体に巨大な腕が激しく激突し、気がついたら空を舞っていた。地面に落ちる前に確認したのはHPだ。残り70%になっている。たったの一撃で20%ものHPを持って行かれたというのか。信じられないパワーだ。ヤツは、いけると思ったのか、躊躇せずにまっすぐ俺のほうに向かってきた。こうなったら、打撃で真っ向勝負だ。俺は立ち上がり、しっかりと構えた。70%残っていれば、なんとかなるに違いない。

がむしゃらにゾンビパンチゾンビキックを繰り出す。打撃が当たるたびにヤツの上げる声からして、効いていることは間違いないのだが、ヤツは動きを止めることなく、腕をぶん回してきた。左からの打撃で俺の体は壁まで吹っ飛び、跳ね返って落ちた。残り50%。相手のHPの残りが分からないだけ、この戦いかたでは無理があるかもしれない。逃げるひまは全くなく、立ち上がった時には、ヤツは俺の目の前に立ちふさがっていた。振下ろす腕を転がって避ける。後ろに回り込みたいところだ。なんとか、真横についた時点でローキックを3連打見舞った。ヤツがこっちの正面を向こうと体を回すのに合わせて俺も必死に後ろに回り込む動きをする。そして、隙が出来た瞬間にローキック。これだ。この素早し動きを繰り返せば、ローキックで倒せるかもしれない。

「いいぞ!その動きだ!背後に回り込め!」シプゾン・ハイドの応援。

しかし、俺のほうが思ったり素早くなかったのか、ヤツが思ったより素早かったのか、再びローキックを繰り出す余裕が生まれないまま、グルグルと回転していると、ヤツの巨大な義手が俺の頭部をガッシリと掴んだ。しまった、と思った時には、体ごと持ち上げられ、ブンブンと激しく振り回されたあげくに、壁に激しく叩きつけられた。もちろん、立ち上がる間にHP確認だ。俺は目を疑った。残り20%程度しか残っていない。次に攻撃をくらったらゲームオーバーということではないか。

這うようにヤツから離れて、立ち上がろうとする。またもや立ち上がった時にはもうヤツは腕を振り上げている。ヤバイ。ゾーンディフェンスじゃ絶対ガードできないだろうし、避けるにしても余裕がない。

そのとき、ヤツが奇妙な声を上げて、自分の後頭部を触った。その後頭部には何本かのナイフが付き立っていた。後ろに回り込んだ金田がサイキック能力で、ナイフを投げつけたのだ。

おかげでゾンビから距離をとることができる。

「テツ!ヤツの後頭部に刺さったナイフを延髄に刺し込むんだ!」

金田が叫ぶ。

なんとかしてヤツの背後に回り込むしかない。

「ンギャガンギャガギャラガアアア!!!」

憤怒したゾンビは手のひらを開いた状態で両手を突き出してきた。また、俺の頭を掴もうというのだろう。これは打撃よりは避けやすい。両手が俺の頭部ギリギリにせまるのを待って、仰向けの体勢でヤツの股の間に滑り込んだ。すぐに振り向き、背後に回り込むことに成功したことを確認。そして、ヤツの巨大な背中に飛びつき、頭部に刺さったナイフを引き抜いて、正確に延髄に刺す。

「ディイイイ・・・グゥウウウ・・・ダァアアア・・・グゥウウウ・・・!!!」

苦しそうな悲鳴を上げて、ゾンビは派手にぶっ倒れた。

幽霊たちの歓声が聞こえた。

「やったな!テツ!」金田が祝福する。

「ああ。一人で勝てる相手じゃなかったな。さあ、HPを回復させて次のフロアへ行こうか」

2004-06-15

[]-スーパーリアルクエスト- その15「作戦会議」

ある程度の戦力は揃った。

金田満綾尋千里と7人の幽霊シプゾン・ハイドハイド幽霊、そしてレベル12の俺。彼らを特徴を順に説明していくと次のようになる。半身不随のサイキッカー、イタコ幽霊と7人の一般人の幽霊、天才ゾンビとその肉体の持ち主だった天才ギタリストの幽霊、そして戦士の俺ということになる。人間は二人しかいないうえに、五体足なのは俺一人だけだ。だが、「ゾンビ幽霊を怖がる」効果次第では、幽霊8人というのはかなりの戦力に化けるかもしれない。俺はそこに漠然とした期待を抱いていた。

参考までに、幽霊8人の名前を列挙する。俺にすら見えないうえに、心に訴えかける声を聴いても違いが全く分からず、誰だか識別不可能なのであえて名前を覚える必要もないのだが。一応礼儀として名前を聞いて、メモしておいたのだ。綾尋千里ギボアーノ安堂加藤賢治(かとうけんじ)、今野貴代(こんのきよ)、浅田圭吾(あさだけいご)、佐藤悠斗(さとうゆうと)、石田龍一(いしだりゅういち)、西平恭助(にしひらきょうすけ)。

綾尋とギボアーノ婆さん意外は、全員若く、石田と浅田は十代後半の大学生、他も20代の若さで殺されている。

昨夜、女戦士ビビアンからメールが届いた。その内容は、獨讀存美の居場所を教えるものだった。

シプヤにある10階建ての豪華ホテルに獨讀存美がいるというのだ。グランドホテルシカパーネの経営は、完全にマスターパペットが握っているという。獨讀存美を倒した場合、情報量として賞金報酬10分の1を要求するとも書いてある。ビビアンを敵にまわしても仕方がないのでそれくらいは素直に払うことにしよう。

獨讀存美を打倒した際に貰える賞金は1千万R.だ。CAN-DOに教えてもらった電話番号でM調査団と連絡をとり、聞いたのだ。ちなみに電話に出たのは、戦士との窓口係をやっている飯島沙織という若い女の子だった。

分け前を分配するにしても、幽霊に賞金が必要なのだろうか?もっとも協力してもらう以上は公平に分けるべきか。千里に力を貸す7人の幽霊は、千里をひっくるめて一人分かな。分けるにしても、わざわざ遺族を捜して渡すのも面倒だし、だいいち渡す際にどう説明すればいいのか。墓参りくらいで許してくれるかな。・・・っとそんなこと俺が考えても仕方がないな。ゲームなんだからそこらへんは勝手にやってくれるだろう。プレイヤーの俺ができることできないこと考えても仕方がない。

ヤツが移動すると面倒なので、決行は明日に決まった。

夜に作戦会議を行った。俺は自分の使える技や自分のストリートファイトのレベルを仲間に伝え、変わりに幽霊技やゾンビ技、サイキック技の内容を聞いて勉強した。しかし当然のことながら、一部のゾンブ技を除いて、どの技も俺が覚えることはできないものだ。

基本的な戦略は簡単に完成した。

基本的にゾンビにトドメを指すのは俺の役目だ。7人の幽霊幽霊技でゾンビを怖がらせたり、動きを止めたりする。さらに金田がそれをサポートし、サイキック技でモノを投げつけたり、幽霊ゾンビの動きを止めるのに協力する。シプゾン・ハイドは敵ゾンビの標準的な格好をして、敵に紛れ込んで攪乱する。敵だと気づかれた場合は、ひたすら逃げる。彼は基本的には戦わない。しかし、手刀をコートに忍ばせておいて、いざとなったらそれを使って戦うことになる。

俺は、彼ら全員のサポートを受けて、ひたすら効率的に動いてゾンビどもにトドメを指していくのだ。

なお、幽霊綾尋千里は生前のイタコとしての能力が残っており、イタコ幽霊技という彼女にしか使えない独特の技でサポート及び攻撃をするそうだ。ギボアーノ婆さんはイタコ幽霊技は使えず、他の幽霊達と同じ幽霊技で戦うらしい。

相手は武器を携帯しないゾンビどもだ。俺もいさぎよく素手で戦おうと思う。もちろん手足にプロテクターは装着して、ダメージは少なくする。拳にも金属製のナックルを付ける。

ちなみに今回付けるナックルは、シプヤのギャングの子ボスが装着していたもので、神がかったゾンビ殺しメタルナックルだ。たかがナックルと侮るなかれ、相手がゾンビなら素手で殴った時の数倍の破壊力のパンチをゾンビに浴びせることができるのだ。今回、武器に鉄パイプや木刀を選ばなかった理由はそこにある。いい称号がついたものがなかったということもあるが、俺は今までパンチやキックといった立ち技での打撃技をひたすら鍛錬してきた。これらはシンプルがゆえに、実践でも多く使われると同時に、自己鍛錬しやすい技で、ひたすら反復練習をすることによってどんどん威力が増していく。鉄パイプや木刀、ナイフを使った技は、正直まだまだ実戦経験と鍛錬が足りず、威力を最大限に発揮できていない。

腕立てなどの筋力トレーニングを熱心にやったことで、基礎体力は高い。そして、パンチとキックの基本的威力とスピード、技の習熟度も申し分ない。素早く、的確に、相手の頭部に打撃を与えれば、倒せるはずだ。

とはいえ、そこはゲーム。戦かっている最中にメニューを呼び出して、武器を変えることができてしまう。ただ変える操作をしている間にも攻撃をくらうので、余裕のある時でないとできない。武器も無尽蔵に持って行けるわけではない。武器をはじめとして、普段持ち歩けるアイテムの数はごく僅かに限られている。他に取っておきたいアイテムがあれば、マンションにある保管ボックスにある程度の数を保管しておくことができる。

俺は明日に備えて、早めにベッドに入った。

mlzapwarwrmlzapwarwr2013/12/17 19:52fqnbadboep, <a href="http://www.yuirwoshyh.com/">btnezpjrmj</a> , [url=http://www.mwnwqpysuw.com/]yneljdypew[/url], http://www.plfuxvbojp.com/ btnezpjrmj

2004-05-20

[]-スーパーリアルクエスト- その14「天才ゾンビ

夜は瞬く間にやってきた。今日もハンター街で何体かのゾンビを倒しレベル12になっていたが、昨日よりも連続でゾンビに絡まれ続けている。そろそろ道を抜けようとしても、ゾンビにエンカウントする。昨日暴れすぎて、ゾンビどもに目を付けられたのかも知れない。ただでさえ、俺は指名手配中の身のようなものだ。ゾンビと連続してやり合うには、レベルも実力もギリギリだ。

なんとかハンター街を抜け出た頃には、22時30分になっていた。ギボアーノ婆さんを待たせることになってしまった。予定では22時前にいくつもりだったのに。俺はシチ公広場まで走った。人だかりをかき分け、婆さんのテーブルに駆け寄る。婆さんは、フードを深く被って座っていた。

俺は息を整えてから、声をかけた。

「婆さん、待たせてごめん」

しかし、ギボアーノ安堂は微動だにしない。俺に気づいていないのだろうか。

ギボアーノ婆さん、昨日の俺だよ。まだ名前教えてなかったけど、テツっていうんだ。もしかして寝ちゃったとか?ハハハ・・・」

俺は軽く笑って、婆さんの肩をゆすった。すると、婆さんの体はなんの抵抗も示さずに、前のめりにテーブルに突っ伏した。大きな目が見開かれ、白目をむいている。そして、その背中には深々とナイフが刺さっていた。

ギボアーノ安堂は明らかに死んでいた。22時からの30分の間に何者かによって殺されたのだ。

俺は刺さっているナイフを調べた。果物ナイフだ。不良どものしわざではない。不良は飛び出しナイフを使う。こんなナイフで人を殺すのはいかれた野郎だけだ。逝かれた野郎。ゾンビに間違いない。おそらくは昨日、後をつけられて会話を聞かれたのだろう。そして、今日俺を時間稼ぎのためにハンター街に引き留めておいて、彼女を殺した。俺のせいで婆さんは殺されたのだ。

そうだ、鍵だ。奴らは鍵を奪って逃げたはずだ。だが、ゾンビは基本的にバカだ。カギを奪っていない可能性もある。俺は婆さんの体を調べた。服やテーブルなどにカギは隠されていない。やはりゾンビが奪ったのだ。貸金庫に急がなければ冷凍庫を奪われてしまう。

婆さんごめん!埋葬は後で・・・と思ったが、俺がもし死体の発見者だといっても、そのまま犯人にされてしまうのではないだろうか。彼女とは昨日始めて会ったばかりだし、俺にはなんのアリバイもない。通行人も彼女が殺された瞬間は見てないようだし、どう考えても俺が不利になるだろう。ここで捕まるようなヘマをするのはばからしい。婆さんには悪いが後は警察に処理してもらうしかない。俺はギボアーノ安堂に手を合わせて、心の中で謝った。その時、彼女の口の中に何か光るものが見えた。口を手で開けると、それが鍵であることが分かった。彼女はゾンビに襲われた際に鍵を口の中に隠したのだ。俺は鍵を手に取った。

貸金庫はシプヤの電力館の側にある。あちこちで目を光らせているゾンビに気づかれないように行かなければならない。奴らがすでに貸金庫で待ちかまえている可能性もある。

鍵はこっちが持っているのだから、急ぐ必要はなくなった。俺はしばらく考えたあげくに、真奈芽のマンションに電話をすることにした。ちなみに金に余裕が出てきたので、携帯を契約したのだ。テレビ電話機能が付いた優れものだ。

が出た。電話まで行くのが面倒だから、電話ごと自分の車椅子のところまで飛ばしてきたと言う。俺は、今までの出来事を伝えて協力を要請した。は了解したが、もう夜遅いから貸金庫はやっていないのではないかと言う。それもそうかもしれない。しかたがないので、明日出直すことに決めた。ゾンビが尾行している可能性が高い。建物の中に入って非常階段を使って裏口から出たり、小さな路地に入ってしばらく身を隠してみたりと様々な工夫をして、極めて慎重な方法でマンションにたどり着いた。



「おい、起きろ。よほど疲れていたんだな」

に起こされて、時計を見ると11時だった。

「朝のニュースでやっていたぞ。ギボアーノとかいう占い師の刺殺事件。手がかりはないと言っていたから、お前のことは目撃されてないそうだ」

都会の無関心というやつだろうか。逆に人混みの中だったからこそ、気づかれにくかったのかもしれないが。

真奈芽は仕事に行き、俺とは二人で貸金庫に向かった。もちろん俺が車椅子を押す役だ。

「おい、やばいぞ」

が言う。電力館の隣のビルが封鎖され、パトカーやら警官やらが集まっている。

に頼んで、警官に話しを聞いてもらった。警官の話によると、昨晩未明に業務を終了していた貸金庫ビルが何者かによって襲撃されたという。警備員が殺害され、爆弾によっていくつかの金庫が破壊されたらしい。見ると、ビル自体も爆弾の影響で今にも崩れ落ちそうなほど破壊されている。

「やられた・・・」

俺はうなだれた。やつらは霊凍庫を奪うどころか、強引に破壊する作戦に出たのだ。

だが、霊凍庫が破壊されたと決まったわけではない。

俺は思いきって、警官に聞いてみた。

「この貸金庫に大事な物を預けていたんですが、貸金庫は全部壊れてしまったんですかね」

「いや・・・金庫自体は建物よりも頑丈にできていてね。一部の金庫の扉は破壊されて中の物が盗み出されたみたいだが、多くは無事のようだ」

それを聞いて、俺はポケットの中の鍵を握りしめた。今なら開けられるかもしれない。だが、ビルは閉鎖されていて業務停止中だ。強引に入り込むと怪しまれることは間違いない。

「しばらく様子を見るしかないな」

俺はに話しかけた。

「何言ってんだ。早く霊凍庫のところへ行け」

「そうか・・・って。、無茶言うなよ。今は入れないだろう」

しかし、は不思議そうな表情でこちらを見上げてこう言った。

「どうしたテツ。何独りごと言ってるんだ?」

今早く行けとか言っただろうが・・・。そっちこそ何言ってるんだ。

「じゃ、貸金庫が再開するまで待つしかないな。今日は戻ろう」

俺はそう言って、の車椅子を押し始めた。

「おい、待て。霊凍庫のところへ行け!」

の声ではなかった。俺は周囲を見回したが、誰もいない。

人の声というより、耳のすぐそばで囁かれたような奇妙な感じがしたのだが。

霊凍庫は無事だ。俺が案内する」

間違いなく、誰もいない空間から話しかけられている。

「何キョロキョロしてるんだ?戻るんだろ。とっとと行こうぜ」

が急かす。

「俺は幽霊だ。俺が案内する」

「それを先に言え!」

俺は思わず、叫んでしまった。

すると、今度はが反応する番だ。

「先もクソもあるか。とっとと行くぞ、テツ」

「いや、お前に言ったんじゃない、。こっちに行くぞ」

「おい!そっちは駅の方じゃないだろう」

俺は文句を言うを無視して、車椅子を駅とは反対方向に押し始めた。

「次の道を右だ」

幽霊の声に従って進む。

「次を左」

そして、人気のない路地に入り込んだ。

何者かが待ちかまえていた。

「もしかしてゾンビ?」

定かではないが、ゾンビの雰囲気を持っている。定番の黒コートに帽子と仮面とはやや異なり、カジュアルな服装に身をつつみ、その上にダッフルコートを着て、顔にはサングラスとマスクを着用している。

「ノンノン・・・シプゾンだ。シプヤ生まれのシプゾン。俺のことはシプゾン・ハイドと呼んでくれ」

名前を名乗るということは、上級ゾンビだろうか。語り口も人間並みに自然だし、そうとう知能が使えている様子だ。

「お前が欲しいのはこれだろう?テツ」

シプゾン・ハイドはおよそ20センチ四方の金属製の箱を手に取った。あれが霊凍庫だろう。間違いない。というか、明らかにフタが開いている。全開だ。

「なんで、ゾンビのお前が霊凍庫を?しかも開いていると言うことは、封印されていた霊が出ているということだ。お前を認めない限り、箱は開かないはずなのにおかしいぞ!」

シプゾン・ハイドはため息をついて、首を振った。

「これだから、低能は困る・・・。人間のくせに考えると言うことを知らんのかね」

「なにぃ!」

俺は構えの姿勢をとった。

「誰が戦うって言ったよ。ますます馬鹿だな。こんな人間に協力するのは気がすすまないが、しかたがないな・・・」

協力?ゾンビが俺たちに協力だと?どういうことだ?

「口を呆けたように開けて、知能のない低能ゾンビの脳髄にも劣る思考回路で何かを考えているようだな。まあ、いい。待っていても馬鹿には答えは出せないだろうから、説明してやろう」

腹が立つがしかたがない。俺は黙って聞いてやることにした。

「人間よ。まず、自己紹介をしてやるからよく聞け。俺様は、ゾンビの中でも傑作であると同時に奇跡でもある存在だ。讀獨存美に殺されたらしいが、死体になんの損傷もなかった上に、死んでからすぐに博士によってゾンビとして蘇った。知能のないゾンビは哀れなものになると、半年も動けないらしい。だが、俺はすでに1年も動いている。博士によると、俺くらいの傑作になると無理しなければ5年は動けるそうだ。戦闘を重ねてしまえば5年どころか1年も持たないだろうがね。そこで俺は長く稼働するために、できる限り戦闘を避けて、讀獨存美の元で目立たないように仕事をしてきた。俺様にも立派な邪悪な意識があったが、元々戦闘には不向きな体つきなのだ。無理をしてせっかくの体を壊したくない。

生前の記憶の一部も検索できるようになり、俺はこの体の持ち主が生前ハイドという名前の天才ギタリストであることを知った。天才は天才となって蘇る。俺は、ハイドという男を見習って自由に死のうと思ったんだ。だが、俺はゾンビだ。俺にとって自由など遠い夢であり、幻だ。マスターパペットの下僕として、壊れるまで働くしか道がないんだ」

長いな・・・。だが、何か言うとまた罵倒されそうなので、我慢して聞いていることにする。

「短い稼働時間でもいい。俺は天才ゾンビにふさわしい新たな生き方・・・じゃない死に方といったほうが適切だな。俺らしい死に方を求めていたんだ。俺はゾンビだからギターは弾けない。だが、俺の脳の奥から様々音楽が流れてくるんだ。心を揺さぶるようなフレーズが聞こえてくるんだ。あいつが、ハイドが、脳の中でギターを弾き続けているんだ。俺にはヤツの心は分からない。だが、記憶の海の中であいつのギターだけは生き続けているんだ。俺は獨讀存美の元を逃げ出して、いつか自由に死ぬ機会を伺っていた。そして、昨日だ。霊凍庫の話を聞いた。俺はピンときたね。イタコ・・・幽霊・・・。もしハイド幽霊がずっと側にいたとしたらどうする?ヤツと接触できるまたとないチャンスじゃあないか。

そして、俺と一緒に行動してたゾンビが占い師を殺したよ。ああ、見事な殺し方だった。スマートすぎて俺には真似できないね。あの低能ゾンビは殺しに関してはプロ中のプロだね。そして、そのまま狂ったような勢いで貸金庫を襲ったのさ。爆弾仕掛けて外に逃げ出そうとしたが、俺がヤツと警備員をビルの中に閉じこめた。そしてドカーン。見事なまでにうまくいったよ。開いた金庫の中に、これだ」

シプゾン・ハイドは得意げに霊凍庫を持ち上げて見せた。

「俺は祈った。天才として死にたい。これから何年死ねるか分からないが、俺らしく傑作天才ゾンビらしく死にたいと願ったんだ。するとどうだいベイビー。箱が開いたじゃないか、さすが天才の俺だね。俺に不可能はない。そして、出てきたのが・・・」

「私よ」

女性の声が聞こえたが、どこにも姿は見えない。

幽霊は普通の人間にもゾンビにも見えないわ。声を聞くことができるだけ。でも私の力を使えば、幽霊が人間やゾンビに声以外の影響を及ぼすこともできるわよ。そうね、例えば・・・。テツ、あなたの背後には7人の幽霊が常につきまとっているわ。ここまでの道を案内したのも、そのうちの一人よ。じゃ、道案内をしてくれた幽霊加藤賢治さん。ちょっとそのゾンビの動きを止めてみて」

「ラジャー」

すると、何も目には見えないが、シプゾン・ハイドがもがいている様子だった。

「ぬお。腕がうごかない!やめろ、傑作である俺様の体の自由を奪うのはよせ!」

「ハハハハハ。申し訳ない。霊の加藤賢治です。はじめましてゾンビさん。こうやってゾンビや人間と会話することができるのも、綾尋千里様のおかげです」

「テツ。私はこのゾンビを信用するわ。彼は獨讀存美マスターパペットを倒すのに協力してくれるというの」

こんないけ好かないヤツを仲間に入れろというのか。


「そういうことだ。俺の仲間にしてやるから、テツとそのフレンドも俺の言うことに従え」

俺は言葉が出なかった。しかし、は乗り気だった。

「すげえぜ!なあテツ。天才ゾンビに大勢の幽霊。仲間が増えたなあ!」

俺はため息をついた。まあ、これで勝てるというのなら何も言うまい。

「そろそろ来るわ!シプゾン・ハイド!」

「おお、ようやく来るか!」

綾尋千里の言葉でシプゾンに緊張の色が見えた。一体何が来るというのか。

しばらくして、元気のいい大きな声が聞こえた。

「よおー。呼ばれて来てみれば、なんと俺様の死体と面会できるとはなー。普段じゃこんな移動はできないが、イタコ様の力でここまで来ることができたよ。ありがとう千里さん」

「どういたしましてハイドさん。あなたが成仏できてないことはすぐに分かったわ。そもそもゾンビ族に殺された人達はほとんどが成仏できずに霊となって彷徨っているのよね。ハイドさんに術をかけて、シプゾン・ハイドさんの肉体の側に地縛霊として常に一緒にいるようにしたわよ。これからはお互い会話も交わせるわ」

「すばらしい。天才ゾンビに天才バディの持ち主の霊とは心強いね。よろしくハイド。」

「よろしく。シプゾン・ハイド。俺の肉体を大事にしているようでなによりだ。あと3年は長死にしてくれよな」

「ああ、お前もそのときまで成仏するなよ」

「それはできない約束だ。俺はマスターパペットが死んだ時点で成仏すると決めているんだ。もっとも自分じゃあどうなるか分からないが、多分恨みが消えた時点で成仏してしまうだろうなあ」

「おいおい、自分の肉体の行く末ぐらいは最後まで見届けてやれよ。それとも最後の別れの時が来るのが怖くて、先に逝ってしまおうということか?」

俺とはその奇妙なやり取りに声を出して笑った。千里幽霊達も声だけだったが、笑った。人気のなかった路地が、しばし笑いにちたひとときだった。

しかし笑いの渦の中に、途中からしわがれた聞き覚えのある笑い声が混じり出して、俺は思わず叫んで飛び退いた。

「そんなに驚くんじゃないよ。なんじゃい、人を化け物みたいに驚いたりして」

ギボアーノさん!ギボアーノさんなのね!」

感極まった様子の綾尋千里

「そうじゃよ。わしじゃよ。千里

「会いたかった!」

「わしもじゃよ。千里。これからはゆっくりと話せるねえ」

「ええ。マスターパペットを倒して、私たちが成仏するまでの間にね」

声だけの感動の再会が繰り広げられていたが、俺はただ俯いているしかなかった。

そんな俺にギボアーノ婆さんのほうから話しかけてきた。

「なに元気なくしてんだい。せっかくわしが会いに来てやったんじゃからもっと歓迎せんかい!」

俺は喉が詰まって言葉が出なかった。

「いっちょ前に責任感じてんじゃないよ。お前は賢明に戦って、わしのところへ走ってきた。全部分かっとるよ。お前は何も悪くない。自分のできることをやっただけじゃ。それにわしはもう何も思い残すことはなかったからいいんじゃ。みんなで仲良く成仏することだけが、わしの最後の希望じゃよ。そのためにはテツ。お前が何をするべきかは分かっておるじゃろう?」

「・・・ああ」

なんとかそう答えた時、俺の頬を伝わって落ちるものがあった。

2004-05-19

[]-スーパーリアルクエスト- その13「占い師」

予想したとおりの事態を前にして、俺は自分が言うであろうと予想したとおりのセリフを店員のおっさんに向かって吐いていた。

「これは・・・冷凍庫だよね」

「またまたー。お客さん、ご自分で冷凍庫っていったじゃあないですかッ。単身用ならこの冷蔵庫の冷凍庫がベストだよッ。冷凍庫が広めのサイズなんで、パンとかご飯とかなんでも色々冷凍しておけますよッ」

首領キホーテの店員は、相変わらずの軽い語り口だった。

「いや、冷蔵庫は間に合ってるんだ」

「すると、冷凍庫だけ欲しいんですか?別売りはできないんですよ」

「冷凍庫のレイは幽霊の霊なんだ。ある人物の霊が封印された入れ物を霊凍庫というらしい」

幽霊・・・ですと?」

店員の顔色が変わった。何か心当たりでもあるのだろうか。

「私は・・・幽霊が苦手でしてね。趣味で写真をたしなむんですが、たまに私が撮った写真にその・・・幽霊が写っていることがあるんですよ」

このおっさんの趣味は盗撮だ。おっさんの撮った写真が心霊写真になっているということか。

「詳しい人に見て貰ったんですが、どうやら霊感の強い人が撮る写真にだけ写ることがあるそうなんですよ。私は普段は霊感なんぞ分からんのですが、写真にはこだわってるんで、映ってしまうのかなあと。最初は怖くてすぐ捨てていたんですが、そのうち写っている霊に興味を持ち出しまして、どんな霊なのかを専門家に鑑定して貰っているんですよ」

店員はポケットから写真を何枚か取り出してそのうちの一枚を俺に見せた。

明らかに盗撮写真だ。スカートの丈を短くした制服姿の女子高生の生足が映っている。角度的に下から撮ったものではなく、下着は写っていない。おそらく場所は駅の地下通路で、前を歩く女子高生を怪しまれないように撮ったものだろう。健康的な足だが、そこは見るべきところではない。薄暗い通路の脇の狭い空間に何かが写っている。

「壁のところをよく見てみてください」

壁際に一見浮浪者が座っているのかと思ったがそうではなく、壁から奇妙な首が突き出ていた。顔の形が歪んでいて、目が肥大化している。明らかに生きている人間の顔ではない。飛び出しそうな眼球は、女子高生を凝視しているようにも見える。この盗撮おっさんと同じような趣味を持った男の幽霊なのだろうか。波長が合うから写真に写るのかもしれないな。

「それも鑑定してもらったんですが、人が大勢集まる駅のような場所には、何かを訴えたい幽霊が地縛霊となって居座る例がよくあるらしいです。その幽霊は、その駅の階段で足を滑らせて頭を打って亡くなった男のものだそうで。その悔しさから成仏できずに、未練とともに地縛霊となってしまったのでしょう」

うさんくさい話だが、霊凍庫というおかしなものが存在する世界のことだ。心霊写真の存在くらいは信じてやってもいいだろう。しかし事故で命を失った悔しさで地縛霊になったのか、それとも単なるスケベ心で通学途中の女子高生を見るために地縛霊になったのかが気になるところではある。何にしても成仏できないのは、不幸なことなのだろう。男の幽霊の表情には苦悶の色も感じられる。

写真を鑑定した人物について聞いてみた。

ギボアーノ安堂先生なら、夜のシプヤで占いの仕事もしているからすぐに会えると思いますよ。シチ公のある広場に10時頃行ってみるといいです」


首領キホーテを出て、夜までハンター街でバトルをこなして時間をつぶして過ごした。レベルは11になった。シプヤの不良どもはもはやザコである。たまに暴力団をぶちのめした後にゾンビが出てくるようになったが、一体しか出ないので、ボコられる心配もなく難易度の高い技をぶつけてヒットアンドアウェイで戦えば勝てる相手である。ゾンビは不良どもと違って倒しても金やアイテムを落とさないが、得られる経験値はなかなかのものだ。

ちなみに、ハンター街の不良達を倒して得たアイテムで、そこそこの装備にはなってきていると思う。とはいえファンタジーもののRPGではないので、剣やら盾やらを落とすわけではなく、落とすアイテムもごく僅かなものなのだが、少ない種類ながらもこだわるべきポイントがあるのだ。

俺が何週間もの間、メインの武器にしている鉄パイプだが、ずっと同じモノを使っているわけではない。攻撃力や耐久力が高いものに入れ替えていっているのだ。この辺りのことは、DIABLOをやり込んだ俺にしてみれば心得たものだ。単なる鉄パイプと侮るなかれ、あらゆる武器には質による基本攻撃力以外にも「装備品のランク」という称号ランクが存在し、ランクの高いものは低いものの攻撃力の何倍もの攻撃力を誇るのだ。

愛用の鉄パイプは基本攻撃力40~60の中でも55を誇るが、「修羅場を越えた」という称号が付いていて、攻撃力にプラス修正が付くため、実際の攻撃力は相当なものである。この上のランクも当然存在すると思われるので、それを手に入れるためにはさらなる戦いを経験しなくてはならないだろう。

なお、戦いに入る前に武器を設定するようになっているので、素手や指サックだけで戦いたい場合は外すことができる。敵によって武器を変えるのは基本だ。ゾンビには鉄パイプによる距離をおいた戦いが有効だが、不良はナイフを持っていることが多いので、より機敏なフットワークができる指サックのみのほうが、有効な打撃技をくらわせることができたりする。鉄パイプを振り降ろしてナイフをたたき落とそうとしても、相手の動きが素早いので簡単にはできない。それよりも、相手がナイフをつきだしてくるタイミングに合わせて、避けると同時にカウンターで打撃を入れる戦法の方が確実なのである。鉄パイプの扱いが難しい理由として、技の入力コマンドが素手の技よりも複雑で、入力に時間がかかるということがある。ボタンの入力がひとつやふたつ多いだけで、その間に攻撃をくらってしまっては元も子もない。攻撃力が高い武器ほど、入力コマンドは複雑になっていくようだ。


22時のシチ交の前広場は、帰宅する人々で溢れていた。いくつか並ぶ露店を見回すと、彼女はすぐに見つかった。顔を隠すようにフードをかぶり、小さなテーブルの上にほんのりと淡い光を放つランプを置いて独特の雰囲気を作り出している。

俺は静かに近づいていった。脇の小さなついたてに「霊感占い ギボアーノ安堂」と書いてあるので、彼女で間違いはないようだ。

「そなたの行くべき道を占いましょうぞ」

彼女は顔を上げずに言った。俺は椅子に腰掛けて彼女の顔をのぞき込んだ。どうやら相当歳をとっている様子だ。声もしわがれているし、老婆といっても差し支えないだろう。

「むぅ・・・そなたの背後にはたくさんの霊が見えますぞぇ。これは珍しい。これほどの数が集まっているのは始めてじゃ」

ギボアーノは私を一瞥しただけで、後は目を閉じてうつむいたままで言った。目をつむって霊が見えるのだろうか。

「しかし、安心なされい。そなたに恨みを持つような悪い霊はおらんですじゃ。むしろそなたを応援しようとする意志が感じられる。そなたに何かを期待しておるようじゃな」

「私に何を期待するといういうのでしょう」

俺はとぼけたように答えた。

「そなた・・・何か強大な力と戦っておるな。その霊たちは皆、このシプヤの街で亡くなったものたちじゃ。・・・その強大な力によって殺されたものたちじゃな。そなたがその強大な力を倒せば、霊達は成仏できるじゃろう。そなたの行くべき道は・・・ズバリ!」

ギボアーノはいきなり顔を近づけて、目を見開いた。三白眼の大きな目が俺を見据える。俺の呼吸が止まった。

「協力してくれる仲間達の力を借りて、強大な力を倒すことじゃ」

そう言って、口の両端をつり上げて、満面の笑みを浮かべた。

霊凍庫のことを言い出すタイミングを伺っていた俺は、早速口を開こうとしたが、その前にさえぎられた。

「むぅ!待たれい。何も言うなや。・・・そなた。わしに会うことで未来が開けていくようじゃな。ふぅむ。わしはつまらぬ占いをしただけじゃが・・・」

「そのことでお話があります」

「待たれい!何も言うなや・・・。ふぅむ。分かったぞよ。わしの持つ大切なものをそなたは必要としておるな?」

「ええ。よく分かりましたね」

「となると、あれしかないぞなもし。しかしあれは簡単に人には渡せないもの・・・」

「そこをなんとかお願いします。私には絶対に必要なものなのです!」

俺の真剣な表情が伝わったのか、彼女はすぐにおれた。

「よかろう。だが貸すだけじゃぞ。明日持ってくるから、また明日の22時にここにくるがよい」

「ありがとうございます。ところで、綾尋千里とはどのようなご関係で?」

老婆は、口を呆けたようにあけて俺の顔をまじまじと見つめた。

「あぁ~?わしの宝とそれとどういう関係があるのじゃ?」

綾尋千里の霊が封印された冷凍庫を貸していただけるんですよね」

「んが。あ~あっちか・・・。なるほどのう。ほうほう、なるほどうなるほどう。わしゃあてっきり宝物のジャミーズの瀧&椿のサイン入り色紙の方かと思っておったわい。うひゃひゃひゃひゃ」

豪快に笑った老婆の唾液が俺の顔面にかかった。そんなものでどうやって敵と戦うのかと言いたいが、突っ込むのもばからしい。だが、老婆の顔はすぐに極めて真剣なものに戻っていた。

綾尋千里はわしにとって娘も同然の存在じゃった・・・。もちろん何の血のつながりもないし、頻繁に会っていたというほどでもない。ただの友達じゃ。だが彼女は両親を早くに亡くし、わしは子供がいない身。そして彼女はイタコという職を持ち、超人的な霊能力を持っておった。わしの霊能力など彼女の足元にも及ばん。わしは霊の存在を確認し、意志をくみ取るのがせいぜいで、彼らと会話を交わしたり力を具現化することなどはできんからな。だが、数少ない霊能力者同士惹かれ合うものがあった。わしはなんでも彼女の相談にのったし、彼女もまたわしに甘えてくれた。しばらく会っていなかったある日のこと、千里は変わり果てた姿でわしの元へ送られてきたんじゃ」

それが霊凍庫というわけか。

千里は何に関わっていたのかわしに言わんかったし、死因さえも言わんかった。その箱はわしの前でも開くことはなかったんじゃ。ただ、千里はわしに語りかけてきた。この箱を必要とする勇者が現れた時に渡してくれとな。今にして思えば、そなたが戦っている相手に千里も殺されたんじゃろうな・・・。おそらく全ては秘密の行動だったのじゃろう。無力なわしにそれを告げなかったのは当然じゃ。じゃが、わしに箱を託してくれたことは本当に嬉しいんじゃ。千里にとって、わしが一番信頼できる人物だったということじゃからな・・・」

ギボアーノの大きな瞳は潤んでいた。

「あれをここに持ってきて手渡すことはやめたほうがいいじゃろう。あれは貸金庫に保管してあるんじゃ。明日わしがそのカギを渡そう」

ギボアーノは貸金庫の場所を教えてくれた。

「今日はもう疲れて占いをする気分じゃないから、帰るとするよ・・・。あ、今回の料金は箱のレンタル代も含めて2万R.だよ」

2004-05-12

[]-スーパーリアルクエスト- その12「CAN-DO来る」

「君は・・・確かカン・・・」

キャンドゥだ。もっとも本名ではなく、戦士としてのコードネームだけどね」

訪問者はミルク刑事ではなく、何日か前に街で会った若い男だった。記憶を失う前の俺のことを知っている様子だったな。

「君が戦士としての任務を全うしようとしていることに敬意を表するよ。今はもう、まともに動いているやつはほとんどいないからね・・・。あ、立ち話もなんだから、入ってもいいかな」

俺はCAN-DOを居間に案内した。

「同じ戦士として、君に有益な情報を与えに来たよ・・・。ああ、情報料はいらないよ。情報提供は仲間として当然のことだ。お互い単独行動の任務だったけど、今となってはそんなのは関係ないからね。目的を達することさえできれば、やり方もなんだっていいのさ」

今となっては、という言葉がひっかかる。何について聞くかの一覧が表示されたので、「戦士について」を選んだ。

戦士に関してか・・・OK。その前にタバコ吸ってもいいかな?」

俺は灰皿をCAN-DOの前に置いた。金田もソファに座って、俺たち二人はCAN-DOと向かい合って座った。

「2年間、日本国防衛庁の管理下のもとに、M調査団マスター調査団の略称。an information and research division about Master)という組織が作られた。メンバーは、国内外の一般人から厳正なテストによって選抜された。彼らの仕事は、マスターに関する情報入手、スパイ行為、及び戦闘全般、最終目的はマスターの殺害及び撲滅にあった。そして、すべての任務は極秘裏のうちに遂行されなくてはならず、もちろんマスター調査団の存在自体も極秘であり、誰にも知られてはいけないことだった。

最先端で、スパイ活動及び戦闘を行うメンバーは戦士と呼ばれた・・・」

CAN-DOは一息ついて、タバコを灰皿で軽く叩いて吸い殻を落とした。

戦士は、高額の報酬で活動していたが、メンバーが思うように集まらない中、半年前の戦いで戦士の多くが命を落とし、リーダーもそのときに殺されてしまった。あれ以来、M調査団の活動は停滞状態だ。

現在動いているメンバーもいるが、給料という形でなく、成功報酬という形に切り替えられた。提供した情報の質と倒した敵次第で報酬は大きく左右されるんだ。なお、ゾンビ族などは上級ゾンビ以外はいくら倒しても報酬は出ない。今は自衛隊から優秀な人材を選抜して、戦闘部隊を再編成し、質より数で勝負しようという作戦にきりかえているらしい。

俺や君などの元戦士は、今は賞金稼ぎだと考えたほうがいい。情報は、よほど有益なものでないと、報酬にはならない。戦闘報酬は、ボスクラスのモンスターか、マスターの直属部下を倒さないと金にはならないだろう。もちろんマスターを倒したら英雄扱いだ。一生遊んでくられるほどの報酬が貰えることは間違いない。

俺のほうは、戦士だった頃の貯金を切り崩している状態だ。マスターの一人であるマスターパペットを追ってはいるんだが、情報も入ってこないうえに、奴の強さだけは知っている。今のままで、一人で倒すことは難しいだろうな」

俺は次に、マスターとは何かを聞いてみた。

「彼らについてはまだ分かっていないことも多い。マスターは5人いる。実は彼らが人間であるかどうかも分かっていない。というのも、彼らは自分たちのことを宇宙人だと言っているんだ。もちろん何の証明もないので、信じているものは少ないが、何回かあった大規模な戦闘でみせた彼らの能力はとても人間のものとは思えない。今は、超能力者説と、マスター自身が主張する宇宙人説の二つがある」

超能力者か・・・。俺は金田を見た。

CAN-DO金田を見た。

「そういえば、あなたは私の命の恩人でしたね。サイキッカーは世界でも数えるほどしか存在しない。戦闘でその力を発揮できる者は数えるほどしかいないでしょう。戦士にもサイキッカーはいたんですが・・・。彼も半年前の戦闘で命を落としました」

マスターパペットについて聞いてみる。

マスターは、5人とも単独行動をしており、バラバラに大都会のどこかに身を潜めている。場所も移動するので特定はできない。マスターパペットは、ゾンビ族を統括するボスだ。ヤツを倒せば、シプヤからゾンビ族は消えるだろう。シプヤのどこかにいると思われているのだが、その場所を知っているゾンビはいない。君が追っている獨讀存美なら知っているかもしれない。それに、獨讀存美を倒せば、相当な賞金が出る」

「君の力では獨讀存美を倒せないのか?CAN-DO

「俺一人では無理だ。・・・もっともだからといって君たちの仲間に入る気はないよ。いや、手柄を横取りしたりするつもりはないから安心したまえ。俺はマスターパペットを倒すことに全力を注いでいるんだ。こいつさえ倒せば、一生生活には困らない。残った4人のマスターも君たちに譲るよ」

CAN-DOは帰り際に、俺にメモを渡した。電話番号が書いてある。

M調査団の連絡先だ。元戦士の君の現況は俺から伝えてある。病院で1年間拘束された後に記憶を失ったことをね。君は元戦士の賞金稼ぎとして登録されているよ。情報提供料や敵の賞金のことも詳しく聞いてみるといいだろう」

玄関口で、最後に聞いてみた。

「色々教えてもらったうえに悪いんだが、街のチンピラから「ゾンビ幽霊を怖がる」という情報を得たんだ。何か分からないかな」

CAN-DOは表情ひとつ変えなかった。

「なるほど。そこまで分かったか。マスターパペットを倒すことには直接的な関係がないから調査はしていなかったんだが。幽霊と対話して、彼らの世界とこの世界との橋渡しをすることができる能力を持った人間がいることは知っているかな?」

イタコか?」

「ご名答。・・・だが、イタコゾンビ族と戦う上で絶大な力を発揮することは前から分かっていたことなんだ。ただでさえ、数人しかいなかった霊能力のあるイタコを引っ張りだして戦わせた結果、イタコは全滅してしまった。今からイタコを探しても骨折り損なだけさ。少なくとも戦える能力を持ったイタコはもうどこにもいない」

なんてことだ。唯一の手がかりがあっさりと否定されてしまった。

「だが」

CAN-DOは続けた。

綾尋千里という絶大な霊能力を持つイタコがいた。その能力ゆえに彼女は戦士になり、多数のゾンビを倒し、マスターパペットまで迫ったのだが、マスターパペットただひとりに、仲間二人と共に殺されてしまったんだ。仲間二人は優秀な戦士だったが、綾尋千里イタコ以外の戦闘能力は未熟だった。少なくともパペットがゾンビ族でないことは分かっている。ヤツの能力は謎だが、相当実力を持った戦士が、綿密な戦略をたてて戦わない限り勝てないだろう」

「でも君はひとりでマスターを倒そうと?」

「充分な情報があれば、倒せると確信している。今はまだマスターの能力が分かっていない。それが分かれば、色々と戦略もたてられる。集団で行動するより奴らに感づかれにくいし、不意打ちもくらわせやすい。どんな手を使ってでもマスターを倒せればいいんだ。ちなみにマスターパペットひとりで、賞金は1億R.以上だ。値段もジワジワと上がっていて、今が倒し時だが、グズグズしていると政府の新しい部隊に先を越されるかもしれない。」

「俺たちと協力する気はないと?」

「協力なら今しているだろう。仲間になる気はないよ。一人で動くことに慣れているしね。君もそうだと思ったが・・・。記憶を失ってしまってからは一人で行動できなくなってしまったのかな。ま、戦力を増やしたところで、賞金が減るだけだからね」

俺は黙ってしまった。CAN-DOの戦闘能力がどの程度かは知らないが、今の俺や金田レベルを考えると、彼を仲間にしても足を引っ張るだけだろう。

「あ、大切なことを言い忘れていた。綾尋千里の話に戻るが、彼女は死ぬ間際に自分の霊を特殊な術を施した箱に保管した。この箱は力ずくで開けることはできず、綾尋千里の霊自身が認めた相手を前にした時だけ自らその封印を解くという」

俺はつばを飲み込んだ。

「その箱はどこに?」

「残念ながら、行方は分からない。形見だから誰かが大事に保管しているんじゃないかな」

結局探さねばならないのか。

「その箱の名前だけでも分からないだろうか」

霊凍庫だ」




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